あなたは、思悼世子(サドセジャ)という人物をどんな姿で知っていますか?
『イ・サン』や『赤い袖先』では
物語の遠くにある悲しい影のような存在でした。
この『秘密の扉』は
その扉を内側から開けてくれる作品です…
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秘密の扉
同じ人物が、まったく違う顔をしていた
このドラマを観るまで、思悼世子への印象は
「イ・サンの悲劇の父」であり、「心を病んでしまった世子」でした。
『イ・サン』では、息子から見た痛ましい記憶。
『赤い袖先』では、時代の悲しみを背負った遠い影。
どちらも、誰かの物語の背景に置かれた存在で
彼自身の声が聞こえてくることはありませんでした。
『秘密の扉』は、その思悼世子-ソン-(イ・ジェフン)が主人公。
本を読みたい。学びたい。
この国のために働きたい。
ソン(イ・ジェフン)は、そんな思いを持った若者たちを守る存在として描かれています。
ドラマはフィクションを多く含むとはいえ
もしソンが本当にそういう世子だったなら…
歴史は、どんな形になっていたのだろう。
そう想像すると、

胸の奥がじりじりと痛くなりました。
ハン・ソッキュの演技に、ただ圧倒される
このドラマで特に印象的だったのが、英祖を演じたハン・ソッキュさんの演技です。
恐ろしくて、哀れで、そして憎みきれない…
父として、王として、ふたつの顔が揺れ動く英祖を
重厚な存在感で体現されていて
何度も画面から目が離せなくなりました。
他の重鎮役の方々も、韓国ドラマをよく観る人なら「この人また出てる!」と思うようなおなじみの面々。
ベテランの演技を見るたびに、こんなに人間の表現の幅は広いのか…
純粋に感動してしまいます。
キム・ユジョンとユン・ソヒの、見事な連続技
ソン(イ・ジェフン)が守るべき最初の存在として出てくるヒロイン、ジダム。
幼少期を演じたキム・ユジョンさんの役柄が、個人的には大好きでした。
そして成長後を演じたユン・ソヒさんが画面に出てきた瞬間に
「あ、ジダムだ」と自然に感じられてしまったのです。
雰囲気がちゃんとつながっている…
ひとりの人間の時間の流れを、ふたりの俳優が呼応しながら表現しているのに
同じジダムにしか見えなくて、物語の奥深さを改めて感じてしまいました。

サンは少し不自然だったような…(笑)
重かった、でも観てよかった
正直に言うと、序盤からかなり重いです。
最悪な状況から始まるドラマは多いけれど
これほどまでに主人公が理不尽にぶつかり続ける物語は
観ながら「つらい…」と声が出てしまいそうになりました。
歴史ものにはよくあることとわかってはいても、やっぱりしんどい。

最後のサンの場面は
ネタバレになるので書けないけれど
ぐっときます。
大人が若者の失敗を受け入れる世界
歴史上の思悼世子は、父王・英祖からの重圧に心が壊れてしまったとされています。
でもこの物語の中には
重鎮たちの中に、ソンにあえて経験をさせるために
自ら身を挺して、失敗を受け入れてくれる大人の姿がありました。
失敗させてくれる大人。
それは、信頼だけではできないことだと思います。若き世子へのリスペクト。
この人はきっと乗り越えられると信じているから
あえて転ばせることができる。

akibird39もそんな大人、母でありたいな。と思いました。
学びたいのに動けない時代を生きた人たちへ…
ドラマを観ながら、何度も考えていたことがあります。
本を読みたくても読めない。
学びたくても、立場がそれを許さない。
この国のために何かしたいのに、動けない。
そういう時代を生きた人たちのことを想うと
今の自分がどれだけ恵まれているか
胸に染みてくるのです。
読みたいときに本が読めて
学びたいときに学べて
自分の意思で選んで働ける。
本当にありがたい世の中になったんだな…
少し別方向の話題なのですが(笑)
韓国の歴史ドラマの中で、個人的に一番好きな人物が世宗大王なんです。
ハングルを生み出した、あの偉大な王。
この『秘密の扉』の中にも、世宗大王の話がちらっと出てくる場面があって
思わず「来たーー!!」と心の中で叫んでしまいました。
ドラマを観ていてこんなに突然テンションが上がる瞬間があるとは!
視点が変われば、歴史が変わる
『秘密の扉』を観て一番強く感じたのは
歴史とは、誰の目で見るかで
まったく異なるものになる、ということです。
英祖に抑え込まれた悲劇の人として知っていた思悼世子が
この作品では、ひとつひとつの言葉と行動で
生き生きと動き出す。
フィクションであっても、そういう「もうひとつの視点」を受け取れることが
ドラマを観る醍醐味だと思います。
『イ・サン』や『赤い袖先』を観た方には
ぜひこの『秘密の扉』もあわせて観てほしい。
同じ人物が、まったく違う光を帯びて映る世界。よかった…

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